AIはメディアを壊すのか、創るのか。Xaris森石氏 × Ambitions大久保 対談

大久保敬太

AIが社会実装フェーズに突入した2024年。メディアはどう向き合うべきか。 メディア企業のAI活用には、著作権に関する議論やハルシネーション(AIが事実とは異なる情報を生成すること)の懸念など、まだ多くの論点がある。 今回Ambitions編集部は、AIライティングアシスタント「Xaris(カリス)」を用いて、AIとの共創を探るプロジェクトを始動した。 その第一弾コンテンツとして、Xarisを開発・提供する株式会社スタジオユリグラフ代表・森石豊氏と、Ambitions事業部編集長の大久保敬太の対談を実施。「メディア企業が、生成AIとどう共創していくか」を探る。

※本連載では、Xarisを活用して作成しています
※バナー・デザインに、ChatGPT「DALL・E」を使用

森石豊

株式会社スタジオユリグラフ代表

「AI vs. 人間」ではなく「AIと共に」

大久保 本日はよろしくお願いします。

森石 こちらこそ、よろしくお願いします。

早速ですが、大久保さんはAIを活用したコンテンツ制作に対して、率直にどんな印象をお持ちですか?

大久保 まだ、期待と懸念が入り混じっている状態ですね。業務効率化や新しい表現の可能性といった点にはワクワクしますが、AIが出力する情報への信頼性といった部分で、拭いきれない懸念もあります。

2022年にChatGPTが登場して以降、僕自身AIでの記事作成を試みたことがあるのですが、まだまだ納得いくレベルではなく、自分で書き直すほうがずっと早い(笑)。

しかし今回Xarisを使ってみたところ、かなり高い精度で生成ができ、正直驚いています。

森石 ありがとうございます。生成AIの進化は各社進んでおり、すでに自然で高精度な文章生成が可能になっています。特に日本語処理能力の向上は目覚ましく、Xarisもその恩恵を受けています。

Xarisは日本語での文章表現に特化して開発されており、高精度な文章生成が可能です。海外のAIライティングツールは英語ベースの文章を基準にしていますが、Xarisは日本語に最適化されている点が強みです。日本語の微妙なニュアンスや言い回しを理解し、自然で読みやすい文章を生成することに力を入れています。

大久保 日本語に特化している点は、私たちメディア企業にとって大きなメリットですね。ストレートニュースなどは、今の時点でかなり活用ができると見ています。

森石 AIの活用に対して、ライターの方からよく「仕事がなくなる」という声をいただきますが、Xarisは完全な代替は目指していません。人間が主体的に編集することを前提としたインターフェースを採用しています。

Xarisでは音声データから文字起こしを行い、その情報をもとに記事を生成します。さらにその過程で人とXarisがチャット形式でやりとりしながら構成や原稿を調整できるんです。

大久保 それは使ってみてとても印象的だった部分です。Xarisでは、自動ですべて代替されるのではなく、記事作成における各段階的(情報整理、構成、執筆、調整)でやりとりしながら生成(執筆)を進めますよね。制作者の工数は残りますが、これまで時間をかけて行っていた情報整理や構成検討が、かなり短縮できました。

森石 AIはあくまでも「人間の創造性を拡張するためのツール」。ライティング作業をサポートするものとして使っていただきたいですね。

「AIは嘘をつく」と、どう向き合うか

大久保 次に、AIの活用で必ず問題になる、信頼性についてです。例えばすでにインターネット上にある記事から「コピペ」で持ってくるなど、そういうことはないものでしょうか。

森石 Xarisは文章を“生成する”AIであり、コピー&ペーストなどは、そもそも起こりません。

しかし、使用者が「模倣」を目的に悪用する、という可能性はあります。「ある作家の文章をAIに与え、それに似せたコンテンツを生成する」というものです。これは当然問題です。

大久保 どのように防ぐのでしょうか?

森石 人間の場合と同じです。利用者が悪用しないというのは大前提ですが、生成した原稿のファクトチェックは必ずやっていただくようにお願いしています。

人間のライターの方に記事を書いてもらう場合でも、その正誤の確認は編集者が行いますよね。それと同じ考えです。

また、XarisではAIが生成した文章と人間が加筆修正した部分を区別し、どこまでがAIの生成で、どこからが人の手によるものかを分けています。また、人間がどのような指示をしたのかといった記録も残ります。つまり、不正を起こそうとしたとき、その責任の所在が明確になるツールということです。

大久保 なるほど。あくまで、主体は人間だということですね。

森石 その通りです。過去の指示ログは、著作権に関する懸念を払拭するためにも重要な機能です。最終的にどのような内容の記事にするのか、読者に何を伝えたいのかを決めるのは、あくまでも人間の役割です。

コンテンツマーケティング終焉のはじまり

大久保 AIライティングツールが普及することで、メディア業界の未来はどう変わっていくとお考えですか?

森石 まず、コンテンツの価値が大きく変わっていくでしょう。極端な話をすると、数値を目的とするマーケティング用のコンテンツ活動は、その役割を終えるかもしれません。

大久保 今時点で、多くの制作会社さんが取り組んでいる領域ですね。

森石 XarisはGoogleの検索上位の記事の内容を読み、それよりもGoogleのアルゴリズム上で上位にくるSEO記事の構成を推測・提案してくれます。

大久保 取材を行わない場合、記事のソースはインターネット上の記事ですよね。すでにインターネット上にある情報を分析して、検索エンジンをハックした記事を生成する。それもAIで無限に作り続けることができる……。そもそもの「検索して役立つ情報を得る」という価値自体が、変わってきそうですね。

森石 コンテンツマーケティングが繰り広げられているプラットフォームを見てください。GoogleやFacebook、Amazon、Twitter、日本では楽天など、いずれのプラットフォームも生成AIの開発を進めています。いずれ、各社のプラットフォーム上で、自社のアルゴリズムに最適なコンテンツがAIでいくらでも生成できるようになると考えています。

その未来では「SEO対策」といった概念自体が過去のものとなり、数字獲得を目的としたコンテンツ施策は、プラットフォーマーに吸収されていくでしょう。

大久保 コンテンツ施策の終わりが始まっていますね。

森石 一方、メディア企業にとってはメリットもあります。例えば、これまでは時間的な制約から諦めていた、より深く掘り下げた調査報道や、多角的な視点からの分析記事などに、人手を割けるようになるでしょう。読者にとって、より価値のある、読み応えのあるコンテンツが増えていくはずです。

大久保 Ambitionsというメディアは、ビジネスストーリーやナラティブによって、ビジネスパーソンを支援することを目指しています。そういう点では、AIは助けにもなってくれそうですね。

森石 まさに、人が本質的な活動を行うことに、AI活用の未来があると考えています。

大久保 メディアに限らないことですが、しっかりと取材して、独自の視点を加えて、ということに向き合うと、時間も人の手もかかるものです。先ほどお話にあった「AIのサポート」は、メディア関係者の活動をより本質的にしてくれる可能性もありそうですね。

「共創」から生まれる、新たな創造性へ

大久保 AIとの共創によって、メディアはどのような未来を創造していけるのでしょうか?

森石 AIは、人間の創造性を刺激し、新たな表現やアイデアを生み出す強力なパートナーになり得ます。例えば、AIが生成した意外性のある文章や構成案をきっかけに、人間の編集者やライターが、これまで思いつかなかった斬新なアイデアを生み出すことも考えられます。

私は現在、Xarisを活用して小説を書いているのですが、キャラクターの設定やセリフなど、想像もつかない内容がでてきてとても刺激を受けます。

人とAIが交互にセリフを書いていくなど、まさに共創を行っています。

大久保 それは面白いですね。AIとの共同作業を通して、人間の創造力はさらに進化していくということでしょうか。

森石 人間は、AIの力を借りながら、常に新しい表現やアイデアに挑戦し続けることで、より魅力的なコンテンツを生み出せるようになるでしょう。

大久保 メディアのAI活用には、現時点でまだ多くの論点があることは確かです。しかし、メディア業界のひとりとして、今絶対に向き合うべきテーマだと考えています。このプロジェクトを通して、AmbitionsとしてのAIとの向き合い方、共創の可能性を探っていきたいと思います。

森石 とにかくXarisを使い倒して欲しいですね。現在、利用者の指示の方向性を記録することで「より自分にぴったりなアシスト」ができる機能も開発中です。

AIは、人の創作をサポートし、創作のパートナーになると考えています。

大久保 本日は、ありがとうございました。

edit by Keita Okubo


本記事は、Xarisで生成した構成や原稿の修正を繰り返し、最終的に「編集」したものです。以降、Xarisが生成したそのままの原稿を紹介します。

AIライティングツール「Xaris」が切り拓く、人とAIの共創時代

近年、ビジネスシーンにおいてもAIの活用が急速に進んでいる。なかでも、文章作成を支援する「AIライティングツール」は、業務効率化の切り札として期待を集めている。しかし、メディア領域においては、著作権の問題や、AIが事実とは異なる内容を生成してしまう「ハルシネーション」の懸念などから、導入に二の足を踏むケースも多い。

「Ambitions編集部」は、このような現状に真正面から向き合い、AIツールの可能性と課題を探ることとした。そこで注目したのが、日本語に特化し、高い精度と使いやすさを誇る「Xaris(カリス)」だ。

開発したのは、株式会社ウィリグラフの代表取締役を務める森石 豊 氏。森石氏は、学生時代から小説家を志し、出版社勤務、ライターとしての独立を経て、オンライン展示会やイベント事業を行う会社を経営するなど、多彩なキャリアを持つ。その根底には、常に「文章を書くこと」への情熱があったという。

「Xarisは、単なる文章作成ツールにとどまらず、『AIと人が共創する未来』を目指しています」

そう語る森石氏。本記事では、森石氏へのインタビューを通して、Xarisが切り拓く「共創」の可能性、そしてメディアとAIの未来について迫っていく。

「AI vs. 人間」ではなく「AIと共に」

森石 本日はよろしくお願いします。

大久保 こちらこそ、よろしくお願いします。

森石 早速ですが、大久保さんはAIライティングツールに対して、率直にどんな印象をお持ちですか?

大久保 率直に言って、期待と不安が入り混じっている状態ですね。業務効率化や新しい表現の可能性といった点にはワクワクしますが、一方で、人間の仕事が奪われるのではないかという不安や、AIが出力する情報への信頼性といった部分で、まだ拭いきれない懸念もあります。

森石 なるほど。まさに今、世の中に出回るAIツールに対する一般的な印象を代弁していただいている気がします。

大久保 やはり、多くのメディア関係者が同じようなことを考えているのでしょうか?

森石 そうですね。特に、これまで人間が時間をかけてきた取材や文章作成をAIが代替するとなれば、抵抗を感じるのも無理はないでしょう。しかし、AIはあくまでも「人間の創造性を拡張するためのツール」だと考えています。

大久保 「拡張」ですか。

森石 はい。「AI vs. 人間」という構図ではなく、「AIと共に」より良いコンテンツを生み出すという考え方です。Xarisは、そのために開発されました。例えば、取材記事の構成案をAIに作らせ、そこに人間の編集者やライターが肉付けしていく。あるいは、表現に行き詰った際にAIに別の表現を提案してもらう。そうすることで、より質の高いコンテンツを、より効率的に制作できるようになると考えています。

大久保 確かに、AIを「ライバル」ではなく「パートナー」と捉えることで、新しい可能性が見えてくるかもしれませんね。

森石 まさに、そこが「共創」という言葉に繋がるんです。

大久保 「共創」ですか。具体的に、Xarisは他のAIライティングツールと比べて、どのような点が優れているのでしょうか?

森石 Xarisの大きな特徴は、先ほども少しお話に出ましたが、独自のブロックエディターと、過去の指示ログの記録機能です。ブロックエディターは、AIが生成した文章と、人間が加筆修正した部分を明確に区別できるように設計されています。

大久保 なるほど。AIが生成した文章をそのまま使うのではなく、あくまで人間が主体的に編集できるということですね?

森石 その通りです。過去の指示ログに関しては、どのような指示を与えたかを記録することで、後から内容を確認できるようにしています。これは、AIが生成した文章の根拠を明確化し、透明性を高めるために重要な機能です。

大久保 それは安心ですね。記事の内容に誤りがあった場合でも、原因を特定しやすくなります。

森石 はい。また、Xarisは日本語に特化して開発されているため、自然で高精度な文章生成が可能です。これは、他の多くのAIライティングツールが英語ベースで開発されているのとは大きく異なる点です。

大久保 なるほど。日本語に特化している点は、私たちメディア企業にとって大きなメリットですね。

森石 さらに、Xarisは常に進化し続けています。ユーザーの皆様からのフィードバックを元に、機能の改善や、新しい機能の追加を随時行っています。

大久保 それは心強いですね。私たちも、実際にXarisを使って、その進化の過程を実感していきたいです。

森石 ぜひ、どんどん活用して、フィードバックをいただければ幸いです。

3. 「Xaris」が変える、メディアの未来

大久保  XarisのようなAIライティングツールが普及することで、メディア業界の未来はどう変わっていくとお考えですか?

森石  まず、コンテンツ制作のあり方が大きく変わっていくでしょう。これまで人間が時間をかけてきた作業をAIが効率化してくれることで、メディア企業はより質の高いコンテンツ制作に資源を集中できるようになります。

大久保  それは、読者にとって大きなメリットですね。

森石  はい。また、AIは膨大なデータ分析に基づいて、読者のニーズやトレンドを予測することができます。この機能を活用することで、メディア企業は、読者の興味関心をより的確に捉えたコンテンツを提供できるようになり、読者とのエンゲージメントを高めることができるでしょう。

大久保  なるほど。パーソナライズ化が進む中で、読者のニーズを捉えることは、メディア企業にとって重要な課題です。

森石 さらに、XarisのようなAIツールは、これまで参入障壁の高かった分野への挑戦を容易にする可能性も秘めています。例えば、専門知識が必要とされるニッチな分野や、言語の壁を超えた海外向けコンテンツ制作などです。

大久保  それは、メディアの可能性を大きく広げる可能性を秘めていますね。

森石  はい。AIは、メディア業界に新たなイノベーションをもたらす可能性を秘めた、まさに「ゲームチェンジャー」となり得ると考えています。

4. 「共創」から生まれる、新たな創造性へ

大久保  AIとの共創によって、メディアはどのような未来を創造していけるのでしょうか?

森石  AIは、人間の創造性を刺激し、新たな表現やアイデアを生み出す強力なパートナーになり得ます。例えば、AIが生成した意外性のある文章や構成案をきっかけに、人間の編集者やライターが、これまで思いつかなかった斬新なアイデアを生み出すことも考えられます。

大久保  それは面白いですね。AIとの共同作業を通して、人間の創造力はさらに進化していくということでしょうか。

森石  はい。AIは、人間の想像力を超えた発想や視点を提供してくれることもあります。人間は、AIの力を借りながら、常に新しい表現やアイデアに挑戦し続けることで、より魅力的なコンテンツを生み出せるようになるでしょう。

大久保  AIとの共創は、メディアの可能性を無限に広げてくれるように感じますね。

森石  その通りです。AIと人間がそれぞれの強みを活かし、互いに協力し合うことで、これまでにない全く新しいメディアの形が創造されていくと信じています。

最新号

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100年に一度といわれる大規模開発で、大きな変革期を迎えている、ビジネス都市・福岡。次の時代を切り拓くイノベーターらへのインタビューを軸に、福岡経済の今と、変革のためのヒントを探ります。 また、宇宙ビジネスや環境ビジネスで世界から注目を集める北九州の最新動向。TSMCで沸く熊本をマクロから捉える、半導体狂想曲の本質。長崎でジャパネットグループが手がける「長崎スタジアムシティ」の全貌。福岡のカルチャーの潮流と、アジアアートとの深い関係。など、全128ページで福岡・九州のビジネスの可能性をお届けします。