マンション管理・修繕の落とし穴と、 管理組合・オーナーへの処方箋

Presented by オプテージ

Ambitions編集部

全国、特に都市部で増加の一途をたどるマンション。理想的な住まいを購入したその先には、実は煩雑な管理組合業務や大規模修繕画、少なくない修繕積立金の負担が待ち構えている。オプテージが手がける「マンション修繕なび」は、マンションの理事会や管理組合が直面する問題に真正面から光を当て、解決に取り組む革新的なサービス。「マンション修繕なび」を立ち上げた廣田安將氏にマンション管理・修繕の落とし穴と、管理組合・オーナーへの処方箋を伺った。大切な住まいを守り、快適な共同生活を築く鍵となる知見を身につけておきたい。

廣田安將

株式会社オプテージ コンシューマ事業推進本部

2009年、株式会社ケイ・オプティコム(現・株式会社オプテージ)入社。家電量販店店頭スタッフ〜営業リーダーを経験。 流通量販店でのイベント部隊立ち上げや、mineo(MVNO)の販路開拓など、10年以上営業の最前線で活動。2021年に社内の新規事業公募制度に挑戦し、自身の経験から生まれたビジネスアイデアを「マンション修繕なび」として事業化。事業拡大を推進中。

「マンション修繕なび」は、分譲マンションの所有者や賃貸マンションのオーナーなど、マンションの修繕に関するあらゆる悩みを抱える方に寄り添うサービスを展開しています。マンションの大規模修繕に関する情報提供や、信頼できる専門家のご紹介、適切な事業者の選定支援など、さまざまなサポートを行っています。

2022年4月から事業を開始し、これまでに100を超える顧客からの引き合いやお問い合わせを受けており、そのうち数件の大規模修繕工事が昨年、実際にマッチングして、竣工しました。このような修繕の相談先が業界では少ないためか、毎月のセミナーの参加者もどんどん増えており、課題や悩みを抱えた人の多さと、我々への信頼と期待を感じています。

専門家とのマッチングや無料での幅広いサービスが好評

法人では、専門性が必要な事業におけるコンサルタントの活用が定着しつつありますが、一般の個人が高額なコンサルタント費用を支払って発注することは多くありません。しかし、マンション経営や大規模修繕工事においては、高度な専門性や意思決定材料の整理が必要なことも多いです。そのことから、コンサルタントや専門家とのマッチングも手がけている点が特徴の一つです。

修繕や建物管理にかかる費用が増加する中、「マンション修繕なび」では、ご相談からご契約まで、ヒアリングや仕様書作成、事業者募集、事業者選びのサポート、見積もり前の現地調査、見積もり取得と比較表作成、業者プレゼンの調整まで、基本サービスとしてすべて無料で提供し、好評を得ています。

「安心して修繕工事を進められる」「適切な事業者の紹介で工事の品質が向上した」「透明性の高い情報提供で正しく比較できた」といった点も評価していただいています。

相見積もりも難しい。マンションオーナーになって直面した、修繕の課題

マンションを購入した時、多くの方は毎月の管理費や修繕積立金を支払い、共用部を利用するサービス利用者的な感覚でいることが多いです。それが、輪番で役員になったとたんに一転して「経営者」としての意思決定と対応を求められるのが、分譲マンション輪番制理事会の構造です。

私自身、2018年に自宅マンションを購入し、その後マンションの役員を務め、修繕委員に就任しました。初めての経験で、業者からの見積もりを見るたびに、「これは本当に今やるべき工事なのか?」「金額の妥当性もよくわからない」と疑問や不安を感じました。

地元の工務店に見積もりを依頼しようとしたところ、管理組合と直接商売をしていないという理由で断られました。マンションの修繕工事は長く安全に住み続けるために重要で、かつ金額も大きいため慎重に検討する必要がありますが、他の業者に相見積もりをとることも難しいという事実に課題を感じました。

その後、同様の悩みや課題を抱えている人が多いことを知り、「マンション修繕なび」の立ち上げにつながりました。

急激な物価上昇。中長期的なシミュレーションを

喫緊の課題として、過去30年間伸びていなかった物価が急に上昇し始めています。資材が値上がりし、人件費も高騰している結果、建物の修繕や管理などにかかるコストが相対的に高くなり、修繕積立金が足りなくなってきているのです。「修繕積立金が急に3倍になった」といった悲鳴も聞こえています。

お客さまからよく「大規模修繕の見積額が高い。もっと安くならないか?」といった相談を受けたりします。しかし、マンションの修繕工事は大規模修繕だけではありません。築20年を超えると、「給排水管の更新」「エレベーターや機械式駐車場の入れ替え」など高額な設備の工事が目白押しです。 

また、今後さらなるインフレなども想定される中、最も重要なのは、大規模修繕工事の検討よりも前に長期の修繕計画を見直し、今後どれだけの費用が必要なのかを明確にシミュレーションすることです。新築時の長期修繕計画は30年程度で作られていることが多く、30年を超えた後で交換を推奨される窓サッシなどの設備や、自動ドアや宅配BOXなどの中型設備は見落とされていることもあります。

大規模修繕工事のコストカットも大切ですが、大規模修繕工事後に発生する工事も意識しながら、今回の大規模修繕の予算を決める手順が重要だと考えます。

管理会社に任せきりにしない。マンション購入の際も注意を

住民の代表として建物や共有施設の管理・運営を行い、生活に直結する重要な事項を決定するマンション管理組合内での合意形成も非常に重要です。

個々の住民の利益だけでなく、全体の利益を考慮し、住民の意見や要望を十分に聴いて決定する必要があります。修繕工事の際には、建物の安全性や住環境の向上など、俯瞰的かつ中長期的な視点で判断する必要があります。

住民の代表として建物や共有施設の示や意思決定プロセスの透明性や公正性を確保しましょう。多数決に頼るだけでなく、修繕計画や財務管理などの専門的な分野においては、専門家やコンサルタントの意見を参考にし、より適切な意思決定を目指しましょう。

管理組合にとっては不慣れなことが多く、管理会社にすべてを任せてしまいたいと思うこともあるかもしれませんが、リスクがあります。管理会社は信頼できるパートナーではありますが、財産の所有者は区分所有者自身です。最終的に自らが責任を負って意思決定をしていきましょう。

また、中古マンションを購入する際にも管理の観点から注意が必要です。実際の管理費や修繕積立金などのコストについても慎重に確認し、購入時に提示される金額が将来の約束とは限らないことを認識した上で、物件価格だけでなく管理費用の適正さも考慮しましょう。

さらなるサービス拡充で、持続可能なマンションライフを

「マンション修繕なび」は今後利便性を向上し、より多くのみなさまへのサービス展開を目指しています。ウェブサイトをより使いやすいものに改善し、専門家とのオンライン相談などのサービス拡充も予定しています。

現在、事業者や専門家とのマッチングサービスを提供していますが、みなさまの不安やニーズにより応えられるよう、マンションのファイナンシャルプランニングなど、より包括的なサポートメニューも提供したいと考えています。

マンション管理組合やオーナーが効率的かつ適切に修繕工事やマンション管理を進めていくことで、長期にわたる建物の安全性や住環境の向上と、業界全体がより効果的に運営されていくことを目指します。

管理組合や賃貸オーナーら当事者が自らの課題に対処し、建物を適切に管理することで、持続可能なマンションライフサイクルを実現したい。新しい市場を開拓し、持続可能なマンションライフを実現するためのプラットフォームとして、これからも進化し続けます。

マンション管理組合が抱える課題と処方箋

「良いコンサルタントや施工会社の選び方がわからない」「どう進めていいかわからない」など、マンションの管理組合が抱える課題は多岐にわたります。課題と対応策をまとめました。

課題

  1. 修繕計画の不備
    適切な修繕計画が策定されていない、もしくは計画に不備があり、建物の老朽化や設備の劣化が進み、修繕費用の急増や住民の不満を招いている。

  2. 信頼できる事業者の選定が困難
    適切な工事を担える事業者の選定が難しく、業者の信頼性や技術力を判断する基準が不明確である。

  3. 予算不足と資金調達の困難
    計画の見通しの甘さや物価高が影響し、大規模修繕工事に必要な資金が不足。適切な資金調達手段が見つからない。

廣田氏からの処方箋

  1. 修繕計画の策定と見直し
    専門家の助言を得て、適切な修繕計画を策定する。定期的に見直しを行うことで、建物の状態を適切に管理し、修繕費用を効率的に抑えることができる。

  2. 事前の与信調査、専門家意見の活用
    事前審査や信頼性確認を行い、書類選考や面談などの適切なステップを踏むことで、スムーズに合意形成を進めることができます。「マンション修繕なび」などの第三者機関の利用をお勧めします。

  3. 修繕積立金の調達や運用
    資金不足に対し、銀行融資や自治体の助成金、住民からの追加積み立てなど、さまざまな調達手段を検討し、適切な方法を選択する。リスクマネジメントをした上で、修繕積立金の積極的な運用に取り組む管理組合も。

text & edit by Aki Hayashi / photographs by Takuya Sogawa

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