無理な急拡大よりもワクワクする仕事を。エンジニアファーストでビジネスを創出せよ

徹底したエンジニアファースト

── テック企業の経営者として大切にしている思想を教えてください。

大谷氏　大切にしているのはエンジニアファーストであることです。エンジニアがワクワクできる仕事にチャレンジして、のびのびと成長できる環境を提供するのが第一。スタートアップといえば“急成長”がセットで語られがちですが、私たちは会社の利益より、人が成長することを優先した会社をつくっています。

なぜなら、急速な事業成長や利益を求めてしまうと、組織のキャパシティ以上の人材が必要となり、組織制度やカルチャーが整備されないまま拡大した、いびつな組織になりかねないからです。もちろん、それで事業成長や利益につながるかもしれませんが、心から信頼できる仲間と一緒に楽しく働くことはできないでしょう。

加えて、事業成長のために無理なミッション達成を優先すると、一人ひとりに任せる仕事の範囲を限定することになり、個人の可能性にふたをしてしまうかもしれません。だから当社では、一人ひとりに挑戦の機会を適切に提供しながら伴走し、人の成長が組織成長につながる環境づくりを大切にしているのです。

田口氏　僕はこの思想を魅力に感じ、ホライズンテクノロジーに転職した一人です。前職までは“上から下りてきた仕事”を納期までに仕上げるエンジニアでしたが、今は大型案件に上流から関わるなど、エンジニアリング以外のことにも主体的に挑戦できています。

望月氏　私もエンジニアの枠を超えて、いろんなことに挑戦したいと考えていたときに弊社代表と出会いました。前職はメガベンチャーで、自社サービスを開発する仕事はとても楽しかったのですが、もっと広い視野でのものづくりをしたい、いろんな人とコラボしたいと切望していたんですね。だから、挑戦できる機会がたくさん得られることは、私にとってまたとないチャンスだと思いました。

エンジニアの枠を超えた挑戦

望月氏　印象的だったのは、入社後すぐにエンジニアの枠を超えた挑戦ができたことです。プロジェクトはクライアントの社内システムのリニューアルでしたが、単に外部のエンジニアとして開発するだけにとどまりませんでした。エンジニアとして手を動かしつつ、クライアントのニーズを直接深掘りし、週次のミーティングで膝を突き合わせながら一緒にプロジェクトを前に進めていく。まさに私がやりたいと思っていたことを実現できたプロジェクトでした。

田口氏　どのプロジェクトも自分たちが考えたアイデアを提案することで、クライアントのビジネス成長に直接貢献できるんですよね。僕が海外から日本の商品を購入する「購入代行サイト」の開発に携わったときも、どんなショップを連携させると良い効果があるか、商品検索から購入までよりシームレスにするにはどうしたらいいかを考えて提案しました。その結果、携わったショップの売り上げが10倍に伸びました。

エンジニアが単なる作業者ではなく、PMに近い立場でクライアント企業の社長や意思決定者と直接話しながら新たな価値創出ができるので、経験したことのない達成感ややりがいを得られています。

望月氏　いろんな企業のビジネスを間近で見られるのは成長につながりますし、自分が思っていた以上に世の中のビジネスやサービスにはバリエーションがあることもわかりました。入社して1年しか経っていませんが、私に見えていた世界はとても狭かったと実感しています。

大切なのはワクワクできる仕事をすること

──エンジニアが枠を超えられる組織づくりの秘訣を教えてください。

大谷氏　二つあって、一つはチャレンジングでワクワクできる仕事を取ってくること。引き受ける仕事は一次請けに限定しています。もう一つは、本当に一緒に働きたいと思える人だけを仲間にすること。だから採用目標は決めていません。一人ひとりが挑戦したいことは何かを丁寧に聞き取り、責任重大な仕事は私も最後まで伴走しながら、できることを着実に増やしてもらっています。

──エンジニアがエンジニアの枠を超える意味をどうお考えでしょうか？

大谷氏　決められた仕様通りに開発するだけのエンジニアは、いずれAIに置き換わってしまうかもしれません。でも、クライアントのビジネスの本質を理解した上で最適な提案ができるスキル、クライアントと一緒に同じ思いを持って最適解を作り上げるスキルは、AIにはまだ超えられない壁だと思うんです。だからこそ、エンジニアがエンジニアの枠を超えて、ワクワクすることに挑戦し続けることが大切だと信じています。

望月氏　私はPMや後輩エンジニアの育成などを通じて、チームで成果を出すことの面白さに気づきました。これまでは一人で達成感を得ながらスキルアップやキャリア構築をしてきましたが、今は自分のスキルやキャリアより、自分がどう立ち回るとチームの効果を最大化できるのかを考えるようになりました。

そう変われたのは、この会社にはメンバーを信じて任せてくれる文化があるから。プロジェクトや開発の進め方も含めて、自ら発案して決定し、試行錯誤しながら進めていけますし、私が変なことを言っても（笑）、協力してくれる仲間がそばにいるので心強いです。

利益よりも仲間の幸せや成長が優先

──徹底したエンジニアファーストな組織づくりの結果、良好な人間関係の構築にもつながっているのですね。

大谷氏　そうですね。良い関係性、つまり心理的安全性の高い環境下だからこそ、いろんなことにチャレンジできますし、失敗は次のチャレンジへの良い学習材料だと捉えるカルチャーも根付いています。

望月氏　少ない人数だからこそ自然と挑戦が求められる場面も多いですが（笑）、それが心から楽しいと思える稀有な会社ですよね。

田口氏　エンジニア個人としても自己満足で作りたいものを作るのではなく、クライアントや日本にとって価値あるものを考えて作っていく環境があるので、視座を高めながら自分の可能性が広がっていく実感を得られます。クライアントのビジネス成長に貢献しながら、福岡の盛り上がりにも寄与していきたいです。

──ホライズンテクノロジーでつくりたい未来を教えてください。

大谷氏　ビジョンに掲げた「未来の世代に強い日本を取り戻す」を実現するために、まずは僕たちが成長することでより大きな仕事を手がけられる組織になり、日本社会に大きなインパクトを与えていきたいと考えています。売り上げや利益目標ありきではなく、良いチームで価値ある仕事にチャレンジしていくこと、数百・数千億円規模の事業づくりに携わることで、日本全体の活性化につなげたいですね。

スタートアップとしては「いつまでに上場を目指します」と言えたほうが格好良いかもしれません。でも僕らはみんなの幸せや仕事の楽しさを追求したいので、軸足をぶらさずにより価値の高い仕事ができるよう、大切な仲間たちと切磋琢磨し続けます。

text & edit by Tomomi Tamura / photograph by Shogo Higashino