「たとえ、在り方が変わっても」 龍崎翔子が旅に期待し続ける理由

Ambitions編集部

ビジネスやクリエイティブの世界で活躍するトップランナーたち。国内外を飛び回る彼ら彼女らの哲学やこだわりは、移動中や旅先においても発揮されている。では、観光産業の回復をはじめ、これまで以上に「旅」が日常に戻るとされるなか、トップランナーたちはどんな「旅のお供」と各地を飛び回っているのだろうか。移動を楽しむため、時短のため、そして、自分らしくあるため……。連載「わたしが前に進むために。トップランナーに聞く『旅のお供』」では、各自の「お供」に込められた思いを通じて、“前に進む”ヒントを考える。 挨拶回り、商談、そして会食……。予定の多いピジネスバーソンは、旅の拠点である宿泊先での過ごし方を考えるのがつい後回しになりがちだ。1年の4分の3を出張先で過ごすホテルプロデューサーの龍崎翔子さんに「龍崎流マインドフルネス」を聞いた。そしてコロナ禍を通じて龍崎さんが見出した旅の在り方とは。

龍崎翔子

ホテルプロデューサー

1996年生まれ。2015年に株式会社水星を設立し、翌年に「HOTEL SHE, KYOTO」を開業。2020年にはホテル向けの宿泊予約システムを開発する株式会社CHILLNNを設立。同年9月には次世代観光人材育成のためのアカデミーを設立。2022年5月には産後ケアリゾート「CAFUNE」を開業。photograph by Yuki Nobuhara

カラーレンズの眼鏡 JINS

一度の出張で複数の地域を移動することもあり、特に飛行機内で目が乾燥しないようにコンタクトレンズの代わりとして欠かせない。今使っているものは2年ほど前に購入したもので、ブルーライトカットの機能もあるため目にやさしく、仕事でも使いやすい。

ニンテンドースイッチ Nintendo Switch

必ず持っていくソフトが2本あり、ひとつはゲームの舞台を自由に走り回れるオープンワールドのもので、マインドフルネスに重宝。もうひとつはボードゲーム形式のもので、仕事で24時問かけて小笠原諸島に渡航した際は、このソフトがプロジェクトチームの親睦を深めるきっかけに。

龍崎:宿泊施設の企画開発・運営を行っているため、コロナ禍でも頻繁に国内を飛び回っていました。移動についての大きな悩みが、乾燥。特にコンタクトレンズだと目も疲れるし、出張先での補充も難しい……。そのため、移動日は眼鏡が欠かせません。カラーレンズなので、 メイクの時間が取れない慌ただしい日もちょっとしたおしゃれができるのがお気に入りです。

意外かもしれませんが、旅先でのマインドフルネスのために欠かせないのが、ゲーム機。その日出てきたピジネスの課題や業務を整理する時に、ゲームの世界で草原をひたすら走りながら頭をリセットするんです。最近、ぼーっと眺めるための「焚き火動画」が人気だけど、私にとってゲームは、インタラクティプな焚き火動画のような存在かもしれません。空間だけでなく時代も飛び越えて移動できるゲームは、実は旅の最終形態かも。もちろん、身体的な刺激はまだまだリアルな旅にかないませんが。

「移動すること」は人間の歴史そのものなので、これからも無くなることはないけど、今のようなリアルに移動するスタイルの「旅」がいつまで続くかはわからない。社会を見ていると、そんな数年間だったかなと。だからこそ、未来に対し楽観的であることを大切にしたい。これは会社のビジョンにも共通するのですが、ビジネスパーソンとしては頭の中で常にネガティブシナリオを描きつつも、明るい未来が来るということを信じる。足がある限り、ヒトは旅を続けるし、そのための拠点である「ホテル」を通じて、わたしは旅の在り方を考え続けたいと思っています。

(2023年1月20日発売の『Ambitions Vol.02』より転載)

text by Reo Ikeda / edit by Tatsuto Muro

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