【株式会社タカギ 松田理恵】男性社会での経験をバネに、ダイバーシティを推進

Ambitions編集部

幼い頃からジェンダーの分野に関心を持っていたという松田理恵氏は、あえて男性中心のメーカーに飛び込み、企業を中から変革すべくがむしゃらに奮闘してきた。その道のりと思いを聞いた。

松田理恵

株式会社タカギ 総務人事部長・ダイバーシティ推進担当

大分県出身。北九州市立大学を卒業後、2002年浄水器メーカーのOSGコーポレーションに入社。福岡支店で15年半営業職に従事し、女性初の所長も務めた。2020年、株式会社タカギに入社。現在は総務人事部長を務めるかたわら、自社のD&Iプロジェクトを進めている。

男性社会のメーカーで営業成績トップに。女性初の管理職にも就任

「お兄ちゃんたちの名前には『彦』が入っているのに、なぜ私にはないの?」。松田氏がジェンダーに興味を持ったのは、幼い頃の小さな疑問がきっかけだ。それから家庭内の男女の役割が気になり、大学生になるとジェンダーを考える若者の会を立ち上げて活動した。

そんな彼女が2002年に新卒で入社したのは、意外にも男性社員が多い、大阪が本社の浄水器メーカーだった。

「まずは男性社会をどっぷり体験してから、女性の支援をしたいと思ったんです」。

福岡支店で営業として働いた15年間、予想はしていたものの、男性社会で女性が活躍することの難しさを突きつけられた。

「当時、女性の管理職はゼロ。営業成績は私のほうが良くても、上司は男性にばかり期待して……。女性でもできると実績で示したくて契約トップを目指しました」。

出産後の育休が明けた時短勤務中に、なんと全国で年間契約高1位を達成。さらに2人目の育休中には、福岡県男女共同参画センター「あすばる」が主催する女性リーダー養成講座「ふくおか女性いきいき塾」に参加するなど精力的に活動。職場復帰後はすぐ同社女性初の課長に就任し、所長まで昇進。

持ち前の明るさとパワーで、男性社会を切り開いていった。

ダイバーシティの取り組みで、男性育休が3%→91%にアップ

2020年、北九州市に本社がある老舗の水回り製品メーカー・株式会社タカギに転職。

同じく男性中心の企業だが、採用面接で「ダイバーシティ推進の取り組みを始めたいので担当してほしい」と願ってもない打診があり、入社早々プロジェクトを発足。

社内公募のメンバーで「意識改革」「制度整備」「キャリアパス」の3チームに分かれて施策を立案・実施してきた。「当初は女性社員がおとなしく、キャリアアップを完全に諦めている人もいました。でも、個人面談や女性キャリアアップ研修を繰り返すことで、将来を考えて積極的に動き出す人も増えてきていて、うれしく思っています」

さらに、男性育休の取得率が3%と低調だったため、配偶者の産後に最長20日間の特別有給休暇を取得できる「育トレ制度」を設けると、2年で91%まで大幅アップした。

「かたくなに育休を拒んでいた男性がしぶしぶ制度を利用したところ、『育児の大変さがわかってとてもよかった』と言ってくれました。社内の風土が変わっていくことを実感しています」

後進の女性たちのために、人とつながり前へ進む

男性社会で結果を出してきたものの、「正直、仕事と育児の両立はすごくしんどかった」と明かす松田氏。

「だからこそ、あとに続く女性が同じ思いをしなくていいように、企業として女性を支援できる仕組みを整えていきたい」と力を込める。今年、決定権の大きい部長になり、やりたいことがどんどん浮かんでくるという。

そんな松田氏の心の支えになっているのは、11年前にいきいき塾で共に学んだ、意欲あふれる社外の女性たち。

「今はリーダーや議員として活躍する人が増えて、モヤモヤを話すと多様な視点から的確なアドバイスをもらえる。かけがえのないネットワークになっています」。

働く女性の支援を自らのミッションとして、松田氏はこれからもパワフルに活動していく。

text by Emi Sasaki / edit by Chie Tanaka

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