福岡の海沿いの街で生まれ育った井桁弘恵さん。 18歳、大学進学と芸能活動のために上京した後もずっと、故郷とのつながりを大切にしているそう。年を重ねるごとに強くなっているという福岡への想い、その魅力、そして福岡の街と自身のこれからについて話を聞いた。
井桁弘恵
俳優
福岡県出身。2021年10月からトークバラエティー番組『おしゃれクリップ』のMCを担当。ファッション誌『MORE』専属モデル。映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』(19年)、『グッドバイ』(21年)、『釜石ラーメン物語』(23年)ドラマ『メンタル強め美女白川さん』(22年)『私がヒモを飼うなんて』(23年)、『紅さすライフ』(23年)、『VRおじさんの初恋』『伝説の頭 翔』(24年)などに出演。
福岡を離れてから、福岡を一層好きになった理由
──井桁さんは福岡ご出身で、現在も仕事やプライベートで福岡を訪れることが多いそうですね。どのようなところに福岡の魅力を感じますか?
ごはんがおいしい、自然と都市のバランスがいい、空港が近いなどいろいろありますが、一番は「福岡を好きな人が多い」ことだと思います。福岡出身者はとにかく地元愛が強く、福岡「で」何かをしたい、福岡の「ため」に何かをしたいという思いを持っていて、それが街の原動力になっているのかな、と。
もちろん私も地元が大好きです。特に、大学生になって東京で暮らし始めてから、より福岡の良さがわかるようになりました。
大学には、いろいろな地域から上京してきた人がいましたが、自分の地元のことをポジティブに話す人ってそんなに多くなかったんですよね。でも、福岡出身の人は「わたし福岡なんだ、いいでしょ」みたいに、みんな自信満々で(笑)。
福岡出身というだけで自己肯定感が高くなるというか、そういう気持ちにさせてくれるのはすごくいいなって思います。
筑豊・飯塚をドライブして海へ。私の福岡時間
──井桁さんは福岡での活動も大事にされていますが、特に印象に残っているお仕事を教えてください。
2021年に『西日本新聞me』のPRキャラクターを務めさせていただいたときに、CMのロケをマリノア(マリノアシティ福岡、2024年8月閉館)でやったんです。子どもの頃から普通に買い物に来ていた場所だったので不思議な感覚でしたが、両親も見にきてくれて嬉しい気持ちになったのを覚えています。
また、2022年に福岡PayPayドーム(当時)の始球式に呼んでいただいたのも、すごく思い出深いです。このお仕事を始めた頃から、「いつか始球式をやらせてもらえるなら、最初は絶対にホークスのホームゲームで!」と決めていたので、ひとつの目標がかないました。
──福岡に帰ったときの、ルーティンは何ですか?
祖父母の家には必ず寄ります。そのままお墓参りに行って、筑豊や飯塚辺りをドライブして。それから両親と一緒にマリナタウンへ行ったり、海を見に行ったり。ゆっくり滞在できるときは母校の修猷館高校にも顔を出しますね。今でも仲の良い担任の先生に会いに行ったり、所属していたテニス部の様子を見に行ったりします。
帰省したときに食べるのは、うどんです。福岡のうどんはやわらかいのが当たり前なので、東京で初めてコシのあるうどんを食べたときはびっくりしました。
行きつけのお店? 私は「資さんうどん」派です。
変わる福岡、残ってほしい、景色、味、におい
──現在、福岡の都心部では天神ビッグバンや博多コネクティッドなどの大規模開発が進んでおり、街が様変わりしています。福岡の変化について、どうお感じになりますか?
私は高校生まで福岡で暮らしていたので、やっぱり青春の思い出の風景が変わることに、少しの寂しさもあります。天神コア(2020年閉館)やホークスタウンモール(2016年閉館)、学生時代によく行っていたな……とか。西新の商店街の少し懐かしい雰囲気が大好きで、プラリバ(西新エルモールプラリバ、2015年閉館)で買い物したり、100円のたこ焼きを買い食いしたり、楽しい思い出がたくさんあります。
若者に優しい街で、個人商店も多くて、長くお店を続けてきたおじいちゃんおばあちゃんが迎えてくれるような、温かい雰囲気がありますよね。
もちろん、街が新しくなって発展していくことは、福岡全体にとってはとてもいいことです。洗練されていくこともいいけれど、福岡のよさは、これからの街にも感じていたいと思います。
──これからの福岡を担っていく、井桁さんと同世代の若いビジネスパーソンのなかにも、同じ思いを持つ人は少なくないと思います。
そうですね。地元愛が強い福岡県人がたくさんいるからこそ、未来の福岡も新旧のよさを取り入れた魅力的な街になっていくんだろうなと思います。
福岡でしか見られない景色だったり、味だったり、においだったり。そういうものを次世代につないでいきたいですよね。
若いうちはキャリアを広げる。新しいジャンルに飛び込んでいく
──井桁さんは高校生の頃から芸能活動を始め、モデル、俳優、バラエティー番組への出演など、さまざまな仕事に挑戦されています。今後のキャリアを見据えて、活動の幅を広げようと意識されている部分もあるのでしょうか?
もちろん苦手なこと、向いていないこともあると思いますが、20代のうちからキャリアを狭めるのは違うのかな、と。特に今はいろいろと経験させてもらえる時期だと思うので、なんでもやろうという意識が強いです。
それに、新しいジャンルに飛び込むことで、自分がどんな気持ちになるのか、周囲からどんな反応があるのか知りたいという欲求もあります。その先に自分が本当にやりたいことが見つかるかもしれません。
──芸能界で活躍するひとりのビジネスパーソンとして、ご自身の仕事の「軸」となるものを教えてください。
私は何かを選択するときに「自分の人生がいかに豊かになるか」を判断基準にしています。自分の人生には誰も責任をとってくれないから、他人の意見や判断に身を委ねず、悩んだときは自分の意思で決める。
そういう軸を一つ持っておけば大事な決断をする際の後押しになりますし、自分の選択に対して後悔しないと思えるのです。この軸は、人生のなかでずっと持ち続けたいと思っています。
《ベージュセットアップ》ジャケット,シャツ,パンツ,アクセサリー:ウジョー、シューズ:スタイリスト私物
《ピンクオールインワン》オールインワン:ヘンネ、アクセサリー:プリーク、シューズ:スタイリスト私物
【ウジョーお問い合わせ先】エム03-6721-0406
【ヘンネお問い合わせ先】ヘンネ カスタマーサポートcustomer@haengnae.com
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stylist by Lim Lean Lee / hair and makeup by Hitomi Kawasaki
text by Noriyuki Enami / photoglaphs by Kohta Nunokawa / edit by Keita Okubo
Ambitions FUKUOKA Vol.2
「Scrap & Build 福岡未来会議」
100年に一度といわれる大規模開発で、大きな変革期を迎えている、ビジネス都市・福岡。次の時代を切り拓くイノベーターらへのインタビューを軸に、福岡経済の今と、変革のためのヒントを探ります。 また、宇宙ビジネスや環境ビジネスで世界から注目を集める北九州の最新動向。TSMCで沸く熊本をマクロから捉える、半導体狂想曲の本質。長崎でジャパネットグループが手がける「長崎スタジアムシティ」の全貌。福岡のカルチャーの潮流と、アジアアートとの深い関係。など、全128ページで福岡・九州のビジネスの可能性をお届けします。