福岡の採用戦略をアップデートせよ【FUKUOKA HR SUMMIT】

Presented by ビズリーチ

田村朋美

全国規模で激化する、キャリア人材の獲得競争。未来を担う人材を獲得するために、福岡の企業は何を行うべきなのか。本誌では特別企画として、福岡地所の冨田靖人氏、ふくおかフィナンシャルグループの林健太氏、福岡ソフトバンクホークスの笠美由紀氏の3名招いて座談会を開催。福岡の企業が抱えるHRの課題や施策について語り合った。ファシリテーターはビズリーチ福岡拠点の東江本樹氏が務める。

東江本樹

株式会社ビズリーチ 福岡総合企画グループマネージャー

2017年、ビズリーチ福岡オフィス立ち上げ期に入社。福岡・九州で企業の中途採用や人事領域全般を支援。

冨田靖人

福岡地所株式会社 人材開発部長

福岡地所に入社後、商業施設の運営や社長室、グループ会社への出向を経て、2023年から人材開発部へ異動し、現職。

林健太

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 人事統括グループ 採用チーム部長代理

福岡銀行に入行後、営業店での業務経験を経て2013年より人事部に異動。若手の育成や採用を中心とした業務を経て、現在はグループ全体の採用を担当。

笠美由紀

福岡ソフトバンクホークス株式会社 人事部 部長

ソフトバンク本社とグループ会社の人事を経て、2021年にホークスへ出向。現在はホークスとホークスのグループ会社の人事を担当。

ビジネスの変革期。求める人材も多様化

東江氏 まず、各社の人材戦略の現状について教えてください。

林氏 ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)では、もともと新卒採用が中心でした。しかし2018年頃から働き方改革やグローバル化、DX、SDGsなどさまざまな外部要因で事業環境が変わり、同時にお客様のニーズも多様化してきており、事業戦略に合わせて多様なキャリアを積んだ専門性の高い人材の、キャリア採用を強化しています。

それでもまだ、生え抜き社員が多い組織であることには変わりません。現在はグループ全体で年間100名程度のキャリア採用を行っており、キャリア人材を受け入れ、ともに活躍できる組織や環境を構築している途中です。

冨田氏 福岡地所では現在、特にキャリア人材の採用に力を入れています。コロナ禍を境に、これまで当社が取り組んできた商業施設やホテルといった不動産の既存のアセットタイプだけではなく、物流施設やエネルギー、ライフサイエンスラボなどの新しいアセットに挑戦しているのですが、社内に知見がないことには実現できません。

新たな事業を推進できるキャリア人材がどこにいるのか、どうアプローチすべきか、試行錯誤を続けています。

東江氏 福岡で人材のニーズが特に変わったのは2020年頃。既存の事業を担うだけでなく、新たな事業を創出する高度な知識・スキルを持つ人材が求められるようになったと感じています。

笠氏 ホークスは2008年より新卒の定期採用を開始しました。ここ2、3年で管理職を担う新卒入社のプロパー社員も増えてきています。一方で、即戦力としてキャリア採用も活発に行っており、多様な人材を、適したタイミングで適したポストに配するため、育成や評価など新たな仕組みづくりが必要と考えています。

東江氏 人材の課題は人事部だけの話ではなく、組織全体の話になるのですね。

ライバルは日本中にいる。企業価値をアップデートせよ

東江氏 続いてのテーマは「福岡という都市の採用課題」についてです。課題や施策についてお教えください。

林氏 FFGに中途入社した社員にヒアリングをしていると、「福岡には、自分に合う求人が少ないと感じた」という声が多く上がります。

ビジネスが賑わい、各社が積極的な採用活動をしているのだから、求人数が少ないはずはありません。つまり求人自体はあっても、転職者に適切に伝わっていないのだな、と。福岡全体の話として、採用の認知度を上げること、継続して伝えていくことが課題だと思います。

笠氏 そうですよね、「(情報収集に積極的な)一部の人にだけ集中して届き、その人材を取り合う状況」になっていると思います。ホークスでも、以前はエージェントに頼っていましたが、なかなかマッチングせず、いい人材に出会えてもライバルが多いということがありました。ビズリーチで直接スカウトを送るようになり、やっと求める相手に届けられるようになりました。

待っているだけでなく、能動的に採用活動をしている企業は、まだ福岡では多くないと感じます。

東江氏 採用活動で競合となるのは、福岡の企業が中心でしょうか。

林氏 かつてはそうでしたが、コロナ禍で変わりました。リモートワークが浸透したことで、福岡や九州だけでなく、関東や関西のような首都圏の会社も採用競合として意識せざるを得なくなったのです。

福岡の給与水準は首都圏と比べると高いとは言えず、待遇面だけ勝負するとなると厳しいですね。まずは企業や仕事に興味・関心をもってもらうことが最優先ですが、能力や役割に見合った十分な収入を得られる環境を整え、優秀な人材が流入しやすい経済圏にすることで、地域の人材力を高めていければと考えています。

新卒社員の初任給をメガバンク並みの水準に引き上げたのもその取組みのひとつです。

笠氏 FFGさんの給与引き上げは、話題になりましたね。福岡を代表する企業の一社が動いたことで、福岡の他の企業も後を追い、給与を引き上げる動きが増えたようですよ。

東江氏 福岡は生活コストが首都圏に比べると低いですが、これから九州圏外の企業と採用で戦うことを考えると、待遇改善の問題は避けては通れません。

林氏 最近では別のエリアから「福岡に住みたい」と移住して入社してくれるケースも増えています。そのような人に、安心して福岡の企業に転職してもらえるよう、環境整備やサポート体制を整える必要があると思います。

東江氏 U・Iターン人材の採用は、これから重要な採用戦略になってきそうです。何をすべきでしょうか。

冨田氏 中途入社した社員から、意見や疑問などを聞くのが良いと思います。福岡地所では、当社のルールや文化に染まってもらうというよりも、これまでのご経験をうまく活かしてもらいたいと思い、「こういうときはどうしてた?」など、積極的に聞くことが多いように感じます。自社の中に閉じず、常に外の視点を入れていくことが大切ではないでしょうか。

林氏 FFGとしては、採用認知度を高めていくことも当然必要ですが、候補者の方に自社の経営や事業に関する想いを、熱意をもって伝え、共感していただくことを重視しています。

実際に首都圏の企業と競合しても、最終的にFFGを選んでいただいた事例もあります。事業部門と共同で惹きつけを行い、候補者の方から共感を得ることができた成功事例から、その大切さを学びました。

福岡企業が連携し、福岡の未来をつくる

東江氏 街も企業も採用のあり方も変化する今、福岡がビジネス都市としてさらに発展していくために、何が必要だとお考えでしょうか。

冨田氏 天神ビッグバンや博多コネクティッドによって市内にオフィスビルが増え、これからたくさんの企業が福岡に進出してくるでしょう。採用の競合は増えるのですが、適切な競争が起こることで、福岡の給与や待遇が、日本の先端レベルまで底上げされて、都市としての発展につながると考えます。

一社ではなく福岡の企業で連携することで、より多様で優秀な人材が増える可能性があると思うので、皆さんで手を取り合っていけるといいですね。

林氏 地元の企業がタッグを組み、協業などを含め人材戦略のあり方を考えていきたいです。特にIT人材は採用が難しいという事情もありますが、事業パートナーなど協業する仲間を増やすことで、スピード感を持って、事業戦略を前に進めていくこと出来ると考えます。

笠氏 専門知識を持つ人材は限られているから、過酷な人材獲得競争を続ける考え方ではなく、事業パートナーや副業で関わってくれる人を増やすというのは、福岡経済全体にとっても良いことだと思います。

またホークスとしては、他社との相互出向を推進させたいと考えています。自社と異なる業界やカルチャーを経験して持ち帰り、社内に還元することで、組織や事業の変革を進めていきたいです。

東江氏 福岡市は2040年まで人口増が見込まれていて、全国的に注目されているとはいえ、その魅力はまだまだ知られていないと感じています。

ビズリーチは福岡の企業の人事領域や事業を推進するパートナーとして伴走していきます。福岡HRの皆さんとの連携を深めながら、福岡の未来をつくっていきたいです。b

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text by Tomomi Tamura / photoglaph by Shogo Higashino / edit by Keita Okubo

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