私が福岡で「デジタル人材」を育成する理由。ホライズンテクノロジー・大谷祐司氏

Presented by ホライズンテクノロジー

長浜優奈

経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」がもうすぐ到来する。しかし現在も日本のデジタル人材不足は続いており、東京圏に60%以上のデジタル人材が集中するなど(※)、地域格差が生じている。ホライズンテクノロジーの大谷祐司氏は、東京でキャリアを積んだ後、福岡で起業。デジタル人材の育成に力を入れている。大谷氏が福岡で未来に残したいもの、エンジニアと地域経済の可能性について話を伺った。

大谷祐司 

ホライズンテクノロジー株式会社 代表取締役

山口県生まれ。2007年に株式会社リクルートエージェント(現 株式会社リクルート)に入社。2008年、株式会社サイバーエージェントに入社。ネット広告部門で開発組織を立ち上げ、子会社の技術責任者に就任。2013年、株式会社インテリジェンス(現 パーソルキャリア株式会社)に入社。技術責任者として3つの新規サービスの立ち上げを行う。2018年から株式会社サーキュレーションにCTOとして参画。2022年にホライズンテクノロジー株式会社を設立し、企業に対してテクノロジーを活用した新規事業の創出支援を行う。

福岡には今、テクノロジーの力が必要だ

ホライズンテクノロジーは、「未来の世代に強い日本を取り戻す」をビジョンに、テクノロジーを活用した組織変革や新規事業の創造に取り組んでいます。

私たちは企業の経営陣や事業責任者とディスカッションを重ねながら、テクノロジーを活用した“本質的な価値提供”ができます。強みはWebサービスをグロースさせる戦略の策定、エンジニア組織の構築、プロダクトロードマップの策定など、幅広い分野でサポートできること。社内にエンジニア組織をもち、アジャイルでのシステム開発ができるのも提供価値の一つです。

2022年に福岡市で起業して約2年。DX推進に対して課題を抱える企業から多くの依頼をいただいていて、我々のようなテクノロジー企業の需要の高さを感じています。一方で、課題解決に取り組むテクノロジー企業や人材が少ないことが、DXにおける福岡の課題だと考えるようになりました。

そもそも私が東京から福岡への移住を決めたのは、福岡のスタートアップ企業にCTOとしてジョインするためでした。その後起業しましたが、正直に言うと福岡で即戦力となる優秀なエンジニアが集まるだろうかと不安でした。しかし求人募集をかけたところ、日本を代表するテクノロジー企業でキャリアを積んだ優秀なエンジニアや、九州大学をはじめとする理系の大学生から多くの応募をいただいたのです。

福岡には意欲の高いデジタル人材が多い、そして、技術を磨く場所を見つけられずにくすぶっている人も多くいる、そのことを実感しました。人の才能を開花させるためには、適切な場所や出会いが必要不可欠です。当社は、デジタル人材の受け皿になりたいと考えています。

会社として、最も重視するのは人を育てること。テクノロジーと人の力で、日本中の企業の成長を推し進めたいと考えています。

何かを成し遂げたいならば、東京ではなく、福岡にチャンスあり

一方、デジタル人材の継続的な育成には、課題も感じています。福岡市では「エンジニアフレンドリーシティ福岡」と称し、エンジニアのスキルアップにつながる取り組みを多く実施しています。

そういった取り組み自体はすばらしいと思いますし、当社でインターンをしている九州大学の学生もプログラムに参加し、自身のスキルアップに役立てていました。ですが、大学卒業後は東京のテクノロジー企業に就職してしまうケースが、やはり多いんです。

福岡の人はシビックプライドが高く、技術者同士のコミュニティ活動が盛んで、横のつながりが強いことが特徴です。自分たちの力でサービスやビジネスをつくり上げ、地域を盛り上げられるのが魅力だと思っています。

ビジネスパーソンのキャリアにおいて、若いときは時間の使い方がとても大切です。街がコンパクトで通勤時間が短い分、やりたいことに時間をかけることができますし、自分の意思でストレスなく働くことができる。東京ではなかなかそういった働き方は難しいですからね。

テクノロジーという武器を手に入れよ

私がエンジニアという仕事に出合ったのは、就職活動で数十社を受けたなか、たまたまエンジニアの枠で内定をもらえたからでした。大学時代はビジュアル系バンドの活動に明け暮れる日々。就職しても定時で帰ってバンドをやろう、そんなモチベーションで始まったエンジニア人生は、最初誇れるものではなかったと思います。

そんな私がなぜテクノロジーを起点としたDXなどの仕事に熱中しているのか。それは、テクノロジーが事業創造における「強い武器」になると気づいたからです。技術を持っていることで、ビジネスの中枢に入り込むことができ、企業の構造や仕組みを知り、新しい価値を生み出すことができる。これは、エンジニアならではのビジネスの面白さではないでしょうか。

未知の領域に飛び込んで、チャレンジしてきたからこそ、今の会社があると思っています。チャレンジをしないことには、心がワクワクする仕事には巡り合えません。福岡という街で、ワクワクとした気持ちで仕事をする人がひとりでも多く増えるといいなと思っています。

※出典「令和2年国税調査」

photoglaph by Shogo Higashino / text & edit by Yuna Nagahama 


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