日本IBMのリーダーたちが語る、 多彩なキャリアパスの歩き方

Presented by 日本アイ・ビー・エムデジタルサービス

Ambitions編集部

自由に働き方・暮らし方を選べる時代。日本アイ・ビー・エム株式会社は、多彩なキャリアを描けることで知られる。同社の2人のリーダーに自身のキャリアパスと、それを後押しする人材育成、地域に広がる多彩な働き方などについて、NewsPicks for WE 編集長の川口あいが聞いた。

倉島菜つ美

日本アイ・ビー・エム株式会社 IBMフェロー IBMコンサルティング事業本部 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス CTO

日本アイ・ビー・エム株式会社にITスペシャリストとして入社、さまざまな業界のアプリケーション開発プロジェクトに参画、アーキテクトとして大規模かつ複雑なプロジェクトをリード。2015年、インタラクティブ・エクスペリエンス事業部(IBM iX)に異動、CTOとしてデザイナーを含む技術者チームを統括。2023年3月IBMフェロー就任、現職。「cosmos」のリーダーを務める。

井上裕美

日本アイ・ビー・エム株式会社 取締役執行役員 / 日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社 代表取締役社長

2003年、日本アイ・ビー・エム株式会社入社。官公庁デリバリー・リーダー、日本IBMグローバル・ビジネス・サービス事業本部の官公庁サービス事業部理事を歴任。2020年7月、日本アイ・ビー・エムデジタルサービス代表取締役社長に就任。2022年、日本IBM取締役に就任。

川口あい

NewsPicks for WE 編集長

昭和女子大学大学院文学研究科修士課程修了。小学館クリエイティブ、ハフポスト日本版等を経てNewsPicks Studios Senior Editorおよび、女性のキャリア構築を支援するプロジェクトNewsPicks for WE 編集長を兼任。女性の働き方やヘルスケアに関するコンテンツを多数のメディアで発信。

2人のリーダーのキャリアパス 共通するのは“自己決定”

──現在、倉島さんはIBM技術者の最高職位であるIBMフェローとして、井上さんは日本アイ・ビー・エムデジタルサービス 代表取締役社長として、共にリーダーの立場で組織を牽引されています。これまでどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。

倉島 私は、工学部を卒業後にITスペシャリストとして日本アイ・ビー・エムに入社しました。当時、メインフレーム(基幹システムなどに使用される大型コンピューター)のエンジニアが主流のなか、金融業界を支援するアプリケーション開発チームの配属となり、クライアントのニーズに合わせたアプリケーションの設計や開発などの経験を積みました。

10年ほど経ち、今後のキャリアを考えていたところ、ソリューションのデザインから実装までを一貫して担うアーキテクトという職種が新たにできると聞きました。より深く顧客の課題解決に関われると興味を持ち、転身。その後は、段階的にスキルのレベルアップを図り、今に至ります。

井上 私も新卒入社から日本アイ・ビー・エムでキャリアを積んできました。最初はITスペシャリストとして、主に官公庁、特に中央省庁のプロジェクトを担当してきました。プログラミング言語を用いたソフトウェアアプリケーションの構想など上流工程に携わったのち、基幹システム開発を経験しました。

幅広い経験で見えてきた自分の強みを踏まえて、プロジェクトマネージャーに転身。顧客の基幹システム開発や、DXプロジェクトの推進などのプロジェクトマネジメントを経験しました。そして、2020年7月にシステム開発からアウトソーシングまで企業のシステム構築を幅広く手掛ける日本アイ・ビー・エムデジタルサービス設立に伴い、初代社長に就任しました。

──お二人ともご自身の価値観に基づいて、キャリアパスを選択されてこられたのですね。IBMグループはキャリアパスが多彩な印象です。キャリアを自己決定に委ねている社風なのでしょうか。

井上 ええ、キャリアの選択肢は豊富だと感じています。グループ全体で、自らの意思でキャリアを形成していく文化が定着しており、特定のキャリアパスを強制されることはありません。しかし、社会人として経験が浅いうちは、自身の興味やキャリアの方向性が明確でない場合も多いものです。自分が何をしたいか、どうなりたいか、業務を通して輪郭が見えてきた段階で、上司との対話を通じて理想のキャリアパスを描くことができます。

学び続ける文化が財産 女性コミュニティも活発

──IBMグループは社員の育成に積極的だと伺いました。社員の成長とキャリアは密接に関係していると思いますが、人材育成についての取り組みを教えてください。

井上 IBM全体で「教育に飽和点はない」という理念が根付いており、継続的な学習の機会を全社員に提供しています。年間で最低40時間の自己学習を奨励しているのですが、日本では実際の平均学習時間は平均108時間となっており、主体的に学び続ける文化があります。また、社員自身も学習のコンテンツを作成し、その知識を共有してお互いの成長に貢献しています。この相互の学びと発信のサイクルは、社員が自らの専門性を高め、新しい付加価値を生み出す基盤です。

さらにIBMでは、職務ごとに必要なスキルとレベルを定義した「オープンバッジ」という制度があり、認定条件を満たすと社内外にスキルを可視化できるバッジを付与します。オープンバッジは人事評価や受講できる研修などにも関係しますので、バッジの存在により一層自己学習が促されます。また、学習コンテンツはグローバルのチームで制作しているので、地域に関係なく先端の技術をキャッチアップできるのも特徴です。 

倉島 私は最近、生成AIと量子コンピューターについて学習コンテンツを使って学びました。発展の歴史や活用方法を詳しく知り、好奇心が刺激されましたね。新しい知識の獲得に挑戦することで、自分にない発想や多様な分野の知識に触れることができるので、恵まれた環境に感謝しています。

──倉島さんは、グループ横断のコミュニティー「cosmos」の運営をリードされていると伺いました。どのような活動をされているのでしょうか。 

倉島 「cosmos」はテクノロジーとイノベーションの世界で活躍する女性技術者や研究者を支援することを目的に、2005年に日本アイ・ビー・エムの全社横断コミュニティーとして設立されました。現在は、各組織からノミネートされたコアメンメンバー約30人が3年の任期で活動し、年1回の大型イベント「cosmos day」や、日常的なセミナーやワークショップまで、さまざまな施策に取り組んでいます。また、四半期に一度のニュースレターを通じてキャリアビジョンの形成を支援したり、社員の相談に応じてメンター探しのサポートなども行っており、女性技術者の活躍推進に大きく貢献していると自負しています。

「地域から日本を変えたい」 地域で技術者を育てる挑戦

──日本アイ・ビー・エムデジタルサービスは2022年1月から現在まで全国7カ所に「IBM地域DXセンター」を開設しました。地域拠点の開設を急速に進めている理由は何でしょうか。

井上 テクノロジーの発展により、特にデジタルを前提とする業務は、地理的な制約がなくなっています。今の時代だからこそ、地域で働く技術者を増やし、先端テクノロジーを活用することで、地域産業におけるDXが推進できると考えています。そのため、全国に拠点を展開しています。

人材育成においても、地理的な制約はありません。各拠点で働く技術者たちは、社内向けオンライン学習プラットフォームを使って、いつでも自分の好きなタイミングで最新の技術に触れ、学習することができます。また、日本アイ・ビー・エムでは社外の方にも学び、交流いただける場『IBM Community Japan』を展開しています。メンバーの方は、旬なテーマ、最新技術動向のセミナーなど通じて、知識を得ていただける他、メンバー同士の研究活動も開催し、全国の皆様に活用いただいています。地域で暮らしながら自分らしく自己成長を促進することが可能です。

──都市部と比較すると、地域での人材獲得は一層難しいかと思われます。どのように取り組まれていますか。

井上 はい、地域での雇用と育成の強化はもちろん、加えてU・Iターンを含む人材の流れをより自由にすることで、多様なコミュニティーの形成やロールモデルの増加につながると考えています。すでにIBM地域DXセンターで働く社員のU・Iターンは増加しており、自らの意思で地域に移住する社員も少なくありません。ジェンダー問わずテクノロジースキルを身につけることで、どこに住んでいても多彩なキャリアパスを描けるという選択肢の幅を広げたいと思っています。

倉島  ITテクノロジーが地域に浸透することで、デジタル化が進んだ社会像「Society5.0」の現実味が増します。地域の利便性の向上を支えるのは技術者です。日本アイ・ビー・エムグループは、各地域に技術者を増やすことで、日本全体の暮らしをより便利に、より豊かにすることに貢献していきます。

日本IBMが取り組む、人材育成の仕組み(一部)

  • オープンバッジ
    職務ごとに必要なスキルとレベルを定義する制度。IBMが提供するバッジの種類は2,000以上あり、各バッジの獲得を支援する社内研修やオンライン学習メニューが整備されている。

  • cosmos
    女性技術者・研究者のキャリア支援を目的に、2005年9月に発足した全社横断的なコミュニティー。多様なロールモデルの紹介や、女性技術者のモチベーション向上のためのラウンドテーブル、セミナー、カンファレンスなどのイベント開催といった活動を通じ、女性技術者が生き生きと働ける会社と社会の実現を目指す。

  • IBM Community Japan
    地域、業種、職種、世代を超えたメンバーと共に「未来×テクノロジー」について、学び、つながり、創造するコミュニティー。メンバー限定で、最新技術動向のセミナーやプログラムを提供。

IBM地域DXセンター最新事例

IBM地域DXセンターの活動と働き方は、次の記事で紹介しています。

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社 (IJDS)の詳細は以下リンクよりご覧ください。

text by Yoko Sueyoshi / photographs by Midori Shimamura / edit by Keita Okubo

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